□  肩にかつぐ                               平成14年6月14日



 ‘スクワット’。筋力トレーニングの基本だ。足のひざに負担がかかると思って、レッグプレスまでで終わりにしていたが、最近又始めた。息は乱れるし、血液が足のふくらはぎから全身にじわっと流れるのが体感できる。おかげで2〜3日かなり肉体のあちこちがきしむ。足腰だけでない全身運動になる。

 暑いさなかの橋の上の床版工事。鉄筋屋さんはすごい。22oの鉄筋を4本も担いで移動する。ただ重い鉄筋を担ぐだけでなく、ゆれる肩の鉄筋を微妙にコントロールする技が必要だ。鉄筋屋さんには腹のでているような体型の人は殆どいない。子供の頃、金魚屋のおじさんは肩に天秤棒を担いで金魚を売りに来るのが夏の風物詩だったし、行商の人も上手にバランスをとりながらしじみ、野菜、魚を売っていた。自分の生活を肩にしょいながら、身体が研ぎ澄まされていく。

 最近‘肩にかつぐ’という行動をとんと見かけない。よく、言われることだが‘赤ん坊’のおぶいひももなくなってきたし、現実、‘だっこ’で育てられる子供が殆どだ。育ててもらったという感覚も‘おんぶ’と‘だっこ’ではかなり違うと言われる。自分の弟妹を背中にしょいながら遊びまわる子供たちは、映画のシーンでしかもう見ることはできない。どこの小学校の校庭の片隅にもあった二宮金次郎の銅像は、本を読みながら生活感覚としての「まき」を背中にしょっているのである。

 ‘肩にかつぐ’。目に見えないが生活を背負うという感覚とオーバーラップする。全社員の生活を経営者層は肩にかついでいる。それぞれの社員は家庭の生活を背負った大黒柱である。経営者の背中を見ながら社員は働く。最近はずっしりと肩に重くなってきた。又1つ重いダンベルを足して‘スクワット’に励もうと思っている。

  

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