□ 贈り物 平成14年6月27日
‘贈り物’は、贈ってくれた相手の気持ちが素直に伝わってくることによって本当の‘贈り物’になる。 毎年5月の連休頃になると決まって‘わらびのおじさん’がわらびを持って来てくれる。わらびは加工して食べるまでになるのに大変だが、又持って来てくれるかなと期待はふくらむ。出はじめの小さな赤い西瓜も、毎年同じ時期に頂戴するが本当においしい。この2〜3年、手作りのメロンが届けられるようになった。かたちは店で売っているのと違っていろんなかたちがあるが、自分でメロンを作る苦労を考えると本当に感激する。要は簡単にお金を出して買えるものでなく、贈り物を届けてくれるプロセスに敬服して、味は一層増幅されるのである。 ‘顧客満足’経営(CS)。もう古いのかもしれない。相手のニーズを把握しながらものをつくり、売る。よく言われる話だが、「誕生日だけど何が贈り物にいい?」と男性が女性に聞く。「グッチの時計がいい」。高いお金を出して女性へグッチの時計をプレゼントする男性は、決して評価は高くない。いくら無理して高価な贈り物をしてもだ。いきなり赤いバラの花を1本プレゼントする男性は、女性に喜ばれる。誕生日を覚えていてくれたことと、意外な贈り物に喜びは増幅されて感動するのである。予測できるニーズ・顧客満足度(CS)より、時代を見つめ、自分を高めた中での自分体験、ES(従業員満足)経営の提案が問われている。「ニーズを聞くな、体験を売れ」。的を得ているのかもしれない。 虚礼廃止。最近はお中元・お歳暮の決まりきったやり取りもめっきり数少なくなってきた。私たちの会社もお世話になった人の気持ちを考えながら、節目節目に‘贈り物’をしようと思っている。結婚退社で辞めた元女子職員が、手作りで焼いたパンとか、自分の好きな和菓子の‘かの子’を忘れずに持って来てくれると、高価なものに変えられないありがたさを感じ、最高の‘贈り物’だと胸が熱くなることがある。
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