□ 業種と業態 平成14年7月5日
‘景気が底を打った’といわれるが、決して‘上向きになりつつある’とはいわれない。最近は景況感も上向き報道もされているが、地方にとっては益々下降線をたどっている。景気とリアルタイムに敏感に反応する株価も1万円そこそこだ。 戦後、オイルショックなどいくつかの景気の波に日本経済も影響を受け続けてきた。景気が構造改革が進んで回復したからといって、今までの自動車業界、電気業界、住宅業界、ホテル業界…といった業種全体が上向くという状況は今後起こりそうにない気がする。業種の中で確実に2極化は進行する。建築の2003年問題を抱えて、オフィスビルは好環境、好立地、高品質、加えてテナント料の差別化は益々進行する。自動車も人気のある車種はどんどん売れていく。地域間格差も拡がり、東京都心に集積され、地方は置き去りにされて2極化が顕在化する。 手づくりのパン屋さんは元気が良い。実際につくっている現場が見えて焼きたてのパンが買える。客単価2000円ぐらいだと思うが見ていて確実に成長している。製造元から毎日パンを運んでくるパン屋さんと違って、売り方業態が違うのである。デザイナーを起用した賃貸マンションは空き室順番待ちだ。観光地の温泉旅館も景気の波、企業団体の需要がめっきり減った中でも確実にリピーターを増やして、いつも満員の地域がある。成る程でかけてみると、料理が丁寧で固形燃料の料理は出てこない。天ぷらもほうれんそう1つとっても、パリッと清潔感がある。規模は小さくても自立しながら確実に、業態を工夫しながら顧客を増やしている。 重ねて言う。業種全体の景気が押し上げられる場面はもうやってきそうもない。業態としてのつくり方、売り方によって2極化は益々加速されていく。地方の建設産業の業態の多様化はみえにくい構造からなかなか答えを見い出せないのが実態だ。
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