□  とぎれた街並                              平成14年7月8日



 ‘バブル期’の都心の地上げにあった空地はさむざむしく痛々しかった。最近は地方のどの都市の「中心」も空洞化が進み、空地だらけの辛い状況から脱却できないでいる。

 「開口部率50%の建築は美しくない!?」。開口部率というきちんとした用語がある訳でないが、壁面に対して窓面積の占める割合を開口部率と規定すると、興味ある結果に気付く。街を歩いていてかっこいい、モダンだ、シャープだ…などと目をひかれる建築の開口部率は100%に近いか、その反対に0%に近い建築が殆どだ。全面ガラスのハイテクビルは100%だし、0%に近い美術館、倉庫群、町屋建築…などに何かを感じる。近代の建築史に残る有名な二人の建築家、ル・コルビジュの建築の開口部率は0%に近いものが多く、ミース・ファン・デル・ローエの建築には限りなく100%の建築が多く見られる。

 ‘スーパーエレベーション’。1つの建築でなく全体のまとまった中での建築の立面、正面を群造型として考えると、街並みの景観を見るのに役立つ。町屋建築が繰り返すことによって出来上がった街並は殆んど開口部率0%。連子窓で構成された1つ1つの建築は開口部率0%。昨年何気なく訪れた沖縄の竹富島の集落。日本で数少ない集落の型が明確化されている集落だが、道路沿い、石で積まれた二重の塀のつながりによって、開口部率は歩く人にとって見える立面は0%に押えられている。

 地方都市の中心市街地活性化事業。どこの都市も車社会の波の中で「中心」から「周縁」へと街の密度が薄れていくのに歯止めがかからない。消費者の動向、経済の仕組みの変化など、複雑な要因が交錯する。景観だけに限定して街並みの「風景」を考えてみる、‘スーパーエレベーション’、開口部率50%の状況、とぎれた街並みは早く解決しなければならない。



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