□  山の上ホテル                                平成14年7月18日



 先週シンポジウムが夕方までかかり、翌日夜まで建設コストの勉強会があるので、東京のホテルに宿泊した。レストランは何度か利用したことがあったが、あちこちの雑誌に最近頻繁に連載されている、御茶ノ水‘山の上ホテル’に泊まってみた。

 学生の町、御茶ノ水のメイン通りから少し入ったところに‘山の上ホテル’はこじんまりとして建てられている。最近のきらびやかな最新設備を駆使したホテルと違って、調度品は決して新しくない。エレベーターはゆっくりと上下するし、クーラーもきつくない。ベッドサイドのラジオもFMとBGMだけ。世界中のホテルが‘均質化’された空間の提供を考えられていた(においのある街7月10日)のと大きな開きがある。従業員の数もそれ程大きくないホテルなのにかなり多い。徹底してお客とのふれあいを大事にしている。

 都市型のホテルで大切なのは、ビジネスホテルを別にするとロビーのあり方のような気がする。いろんな人がホテルで往き交い、待合わせ、本を読み、情報交換をするコミュニケーションの場だ。都市型ホテルの経営だけを考えると、客室と共有スペースのレンタブル比の率を上げることは大切かもしれない。昨年名古屋でできたてのホテルのロビーで待合わせ、打合せ、日帰りしたが、名古屋の街並みが見渡せ、本当に近代的なホテルだった。

 近代的の名古屋のホテルはチェックイン・アウトの人たちだけが座れるロビー。‘山の上ホテル’のロビーは本館・別館共にロビーにかなりのウェイトのスペースをとってある。片隅には百科事典、辞書まで置いてある。ゆったりとした非日常的な体験を楽しむホテルライフ。自由に語れ、自由に書物を読み、文章が書け、考える場を与えるロビースペースがホテルライフの原点、確かに‘山の上ホテル’には悠久の時間が流れている。



ご意見、ご感想は ndk-aoyagi@ndk-g.co.jp まで


「森の声」 CONTENTSに戻る