□ 現場監督病症候群 平成14年10月1日
結果重視で、「ものをつくり上げる」、今までやってきた業務のあり方で充分だった。いつの間にか時代の変化とともに「ものをつくり上げる」プロセスが社会の要請と差異を生じ‘現場監督病’症候群現象とまで表現されているとは知らなかった。確かに、空腹を癒すのが戦後の食堂。今の時代味はもとより食を楽しむ楽しみ方を提供することが求められている。建設工事においても足りないものをつくる時代から「もののつくり方」のプロセスのあり方を表現する事が問われているのである。 受注した工事の着工書類、施工計画書、安全計画書などの現場関係書類、そして現場をどのくらいの価格で仕上げるか、実行予算書を作成し、協力業者を選定し、協力会社との値決めを行い発注書を取り交わす。工程をにらみながら施工図、工事写真、日報をつくり上げ、完成書類一式発注者に提出する。現場監督の業務は大体こんな流れで推移し、無事に工事は完了引渡しとなる。手戻りもなく、クラッシュにならずに、気配りの行き届いた協力業者と一体となって工事が仕上がれば、社会的な評価は充分なものになったのが今までの建設工事。 建物のまわりをぐるぐるまわって一向に建物の中に入って見る気配が見られない。住宅をつくりたい施主を現場案内した時の貴重な体験。工事中の建物のまわりにタバコの吸殻が落ちていないか、ゴミの始末はどうなっているか、入念にチェックしている、近い将来の施主。建物の品質や性能がどうなっているかより先に、工事の仕方をしっかりチェックしているのである。自分の土地を大事に扱ってくれる建設会社かどうか見極めていたのである。確かに出来上がった結果としての綺麗なおしゃれな住宅をみても結果は想像できるし、体験できる。「つくり上げる」プロセスのやさしさを評価したかったのである。 ‘現場監督病’症候群。発注者と協力会社の間で言われた事しか行動しない、指示待ち、指示する、伝達するだけの人間が形成されていく。「ものをつくる」ことには熱心だが、協力会社をはじめ現場にたずさわっている人に指示しているだけだから、まわりの人からみれば立居振舞は尊大、こんな姿勢が症候群のあらわれ。ただ単に「ものをつくり上げる」だけでなく「考えて工夫したつくり方」、「やさしさ」、「ていねいさ」、・・・結果重視で「ものをつくり上げる」のはあたりまえ、自分で考えて行動していく「ものつくり」人間が求められている。介護サービス、企業再編、建設業が他の産業分野に目を向けて行動しようと思っても、こんなところに難しさがある。
|