□ マッサージ                                                   平成15年7月11日


 大袈裟に言えば40歳代の前半までマッサージを求めて彷徨い歩いた。肩こりと腰痛がひどかった。自分に合ったマッサージを探し求めたのである。強く力を入れて揉んでいくマッサージもあれば力を入れずに時間をかけてゆっくり揉んでいく。いろんなマッサージを体験した。最後には宗教罹ったマッサージにまで行き着いた。確かに揉んでもらっている間は凝っている身体がほぐれていく気がして楽になる。どんなに時間をかけても飽きてしまうことはなかった。それでも直ぐに元に戻ってしまう。自分の身体に合ったマッサージにはなかなか巡り会えなくてとうとう終わってしまった気がする。マッサージを求めて彷徨い歩くことは筋トレと共にいつしかなくなった。

 車と新幹線を乗り継ぎながら一日の移動距離が軽く600キロ以上になる。新幹線の乗り継ぎがうまく行って一本早くなった。東京駅について中途半端な時間が空いてしまった。そういえばこの数週間はばかに忙しかった。満足に筋トレにも行っていない。東京駅周辺には足裏マッサージから簡単なクイックマッサージの店が何軒かある。空いた時間にマッサージにでもかかってみようかって気楽な気分になったのが悪い。ほんとに久しぶりにしっかり背中マッサージにかかってみたら八重洲の地下街をうまく歩けない。禁煙続きの後のタバコ一服と同じ、急に血の流れが良くなったのかフラフラする。自分の身体の気がしない。その後の勉強会もまるで身が入らない。眠りも浅かった日が続いてマッサージにかかったら一気に緊張感までほぐれてしまった。

 筋トレを繰り返していけば確実にマッサージとは縁遠くなっていく。年中行事だった腹痛もきれいさっぱり消えてしまったし、健康診断の肝機能の数値も見事に回復した。痛風になりそうな気配になったらエアロバイク一時間半もこいで、1500ccの水を飲みきればどこかに消えていってしまう。脂肪が減って体内からすっきりした感じがする。筋肉もきっと見かけだけでない赤い筋肉が付いた筈だから弾力もある。不思議と肩こりも腰痛も消えていく。マッサージにかかると今までと違って逆に気持ち悪い。触られていることに身体が拒絶する。かかっても15分以上は耐えられない。きっちり筋肉をつける運動を繰り返して最後にストレッチで身体をよく伸ばしクールダウンしていけばもう他人の力を借りたマッサージにかかる必要はなくなってくる。マッサージを捜し求めていた身体は運動不足と不摂生からくる、自分で自分の身体をつくればマッサージとは確実に縁遠くなっていく。

 それでも窓越しに見る足裏マッサージを始めクイックマッサージは見ているだけで気持ちよさそうな雰囲気が伝わってくる。歩き疲れた脹脛と足裏をマッサージして貰えれば疲労は一気に回復してきそうな気にもなってくる。自分にあったマッサージを捜し求めていた頃は確かに運動らしい運動をしていなかった。筋トレとジョギングを繰り返せばマッサージそのものに目が向かなくなる。久しぶりに空いた時間を有効活用のつもりで休息を求めてかかったはずの東京駅のマッサージ、緊張感がほぐれたのは良い。リバウンドは大きかった。自分の身体は自分でつくり守っていくのが基本、分かっていても最近はなかなか実行できない。他人まかせのマッサージをもう追い求めるわけには行かない。どんなに忙しくてイライラしていても少しずつ年相応な運動を繰り返していくしかない。自分の身体まで他人任せなんて事はありえない。

                                          (青柳 剛)

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