「ブログって何だ」って思ったのが去年の11月の末頃、木村剛の責任編集「ファイナンシャル ジャパン」創刊号の巻頭文にブログのことが書いてあった。社内のIT好きに聞いてもすぐに答えが返ってこない。あちこち調べてようやく分かった。「WEB」と「LOG」の組み合わせがブログ、「インターネット」上の「記録」だと理解したのがその2−3日後だった。毎日ものすごい勢いで増えている。ホームページは立ち上げも難しいがその後の更新も煩わしい。これなら簡単に書きさえすればすぐにでも発信出来るし、立ち上げた文章の訂正もあっという間に出来る。木村剛が言っているようにこれだけ簡単に個人発信が出来るなら情報の質が大きく変わっていく。匿名性の世界であっても掲示板とは違う、いつの間にかブログを始めていた。
「YAHOO MAILって何だ」って思ったのが去年の10月頃、盛田隆二の小説「散る。アウト」に何遍も出てきた。先物取引に失敗して多重債務に陥り、仕事も家庭も失ってホームレスとなった主人公木崎は、モンゴルの女性と偽装結婚すれば50万円貰えるという誘いに乗ることから話は展開していく…。複雑なストーリーの展開は海外まで拡がってハラハラドキドキもする。それ以上に文中で気になったのが、何もかも失った主人公木崎の連絡方法がネットカフェーでのメールのやり取りだった。パソコンを持たなくてもギリギリのところで確認を取り合っていたことだった。ネットカフェーの料金だけで済む。国内はもちろんモンゴルからでもネットカフェーさえあれば良い。これは使えるかもしれない、どこからでもメール発信が出来てスケジュールまで確認できれば最高、いつの間にか「YAHOO
MAIL」を始めていた。
「REMOTE MAILって何だ」って思ったのが一昨年の8月頃、暑い最中、島根の菊竹清訓設計の一連の建築作品をいくつか見ていた時だった。一緒に出かけた仲間の企業経営者がいつもメールを見ながら返信している。社員からのメールがひっきりなしに入っている。業務報告もそうだが社員の考え方まで経営者に伝えている。それにまめに返信を繰り返している経営者にはほんとに驚いた。「こうやって島根に来ていても社内であったことがどんどん自分のパソコンから携帯に転送されてくる。旅行していてもこのおかげで安心して旅行をしていられる。ストレスは減りますよ」、なるほどこれは便利だ、いちいちパソコンに向かわなくても良い。パソコンに入った情報がリアルタイムに携帯に転送なら安心していられる。全社員に毎朝パソコンから考え方を発信してみよう、返信は携帯に返ってくる、いつの間にか「REMOTE MAIL」を始めていた。
「ブログって何だ」、「YAHOO MAILって何だ」、「REMOTE MAILって何だ」って思ってみんな始めてきた。パソコン情報誌を読んでいるわけでもない。きっかけはいつもこんなものかも知れない。本の中からと人とのふれあいの中からのアナログ情報、興味を持ったものはやってみる。最近、ブログは毎日のようにマスコミに取り上げられるようになってきた。去年はブログ元年、大新聞にない力を発揮してプロ野球選手のストライキの方向性を変えたのもブログの力の象徴だった。今年は、経営の軸と共有感を求めた社長ブログを求める社員の声が多いとも言われる。社長ブログの年。「YAHOO MAIL」も面白いし、カレンダーは社員が情報を共有できるグループウエアとしても使える。全社員向けの朝のパソコンからのメール発信は2年近く続いてきた。返信された社員との携帯メールのやり取りは形式的な朝礼とは別のものがある。興味を持ったものは取り敢えずやってみる、チャレンジしないで残った悔いは数え切れない。
(青柳 剛)
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