今月から新しく別の新聞に原稿を書く。月に一回の掲載だからそれほど気にすることもない。毎週掲載をしていたときは、原稿に追われる気分とはこんなものだとしっかり切羽詰ったその気分を味わった。建築を中心にして書いていこうと思っている。それでも単なる建築紹介の文章で終わってしまうとつまらない。身近のいろんな出来事に置き換えたり、建築雑誌にあまり書いてないようなことを書いていったら読者は読んでくれる。そうでないと建築の話は一般の読者にとってつまらない話になってしまう。ここの欄で建築の話を書いたときの反応の鈍さは、充分経験済みだ。最近はテレビ・新聞で建築デザインの話題がかなり身近なものとして取り上げられるようになっても、まだまだ、みんなが簡単に理解するような状況になっていない。そんなことを考えながら、車で往復4時間近くかけて原稿取材、昔懐かしい建築を見に行ってきた。
家に帰ってきて、早速、撮ってきた建築写真をCDに落としながら原稿を書き上げる。懐かしい建築を思い起こしながら荒削りに書いておけば、後は何度か推敲するうちに読み易くなってくる。疲れていても、いつもこうやって、取り敢えずの原稿を書いておく。それにしても、暫くぶりの4時間近い車の運転だったから、疲労感が重く残る。疲労感とともに、NHKの大河ドラマの「風林火山」を最後まで見る元気もなく寝入ってしまった。寝入って1時間半位経ったら体調がおかしい。寝汗をかいている。腹の調子がおかしい。トイレに駆け込む。それからは、30分おきにトイレに入ったり出たりと繰り返す。今年はインフルエンザが遅れて流行り出したからインフルエンザに罹ったか、それとも単なる風邪か、明日はきっと熱まで出る、まずいことになったといろんな思いが頭の中を駆けめぐる。
それでも素直に原因を考えるなら、腹の調子がおかしいのだから、昼間食べたものが悪い。時間的には半日経っての発症だから、辻褄が合う。今日一日、建築を見に行った時に食べたものをもう一度おさらいしてみる。売店で美味しそうだった蓬入りの焼餅を食べた、昼に立ち寄った交差点にある蕎麦屋でもり蕎麦と野菜てんぷらを食べた、運転しながら帰りに眠気覚ましにソフトクリームを食べた、思い当たるのはこれだけだ。他にはない。「やはり風邪かあ」と思いながらも体調はそのうち落ち着き始め、いつの間にか朝まで寝入ってしまった。朝起きてみればなんともない、勿論、熱もない、夕べのあの数時間が夢の中の出来事のように終わっている。念のために軽い抗生物質を1錠飲んで、7時からの月曜早朝会議に参加して、何もない1日が無事終わった。
焼餅だ、蕎麦だ、野菜てんぷらだ、考えてみればみんな熱が通っている。ソフトクリームもドライブインでかなりの人が食べていたから食中毒には当てはまらない。一過性の病気とは夕べのあの数時間のことを言う。あれこれ考えて、ようやく思いついたのが前の日に新幹線を降りてキオスクで買ったレモン水、二口ぐらい口をつけただけのペットボトルが車に残っていた。暖かくなって水を飲みたくなって一気に飲んでしまったレモン水が悪かった。きっと、陽気のせいもあって、すごい勢いで雑菌がボトルの中で繁殖していた。時間も当てはまるし、その後に起きたことも含めて、すべての状況が納得できる。最近はマイボトルが人気だ。リーズナブルなこともあるが、エコにもやさしい。コーヒーをボトルに入れてくれる店もあるらしい。それでも、気にしなくてはならないのは、いつもきちんと清潔に洗っておくこと、飲み残しがあったらこの間の辛い夜のようになる。今回の教訓、「飲んではいけない、飲みかけのペットボトル」、あっという間に体調が崩れだす。
(青柳 剛)
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