先日いつもの理髪店に行ったら「日焼けしてますねえ、ゴルフですか?」って言われた。日焼けをしたのはジョギングの所為でもあるが、ジョギングは夜が多いからあまり関係はない。毎年夏の恒例、鮎釣りに行ってきたのである。アウトドアの趣味の鮎釣りをする人を最近は廻りにあまり見かけなくなったが、それでも川に行ってみれば沢山の釣り人がいる。今年は6月の下旬から何かと忙しくてなかなか鮎釣りにいけなかった、出かけたのも急に思い立った土曜日の夕方3時間ほどの一回だけだった。釣果はあまり良くない、釣れた鮎の大きさもまだまだ小さい。鮎が釣れたときの感触も良くない。去年は鮎釣りの解禁日に始まってかなり頻繁に時間を見つけては鮎釣りに出かけていた。
鮎釣りの基本は当たり前のことだが、鮎がたくさん居て、竿の出しやすい、釣れた鮎を取り込みやすいところに行かなければならない、「場所」がなによりも大事だ。去年は鮎釣りの解禁日に出かけた。前の日の夜、東京から帰ってきて9時半ごろに知り合いの鮎釣り名人に電話をすると、もうその時間から川で陣取っているという。そのまま缶ビールを抱えて川に出かけてみれば、テントを張って釣り仲間同士で明日の朝の解禁を心待ちにしている。鮎釣り談義に花が咲いている。それどころか3日前からここで「場所」取りをしていたという話には驚きだ。鮎釣り名人たちの鮎釣りにかける情熱は尋常でない。どこにでも鮎の居そうな解禁の日でさえ鮎の居る、釣りやすい「場所」を確保することが先ず大事なのである。
その次に準備しなければならないのが「仕掛け」、特に釣り針と釣り糸に気を使わなければ鮎はなかなかかからない。鮎釣りは「友釣り」が基本、川の中で泳いでいる鮎の縄張りに「囮」鮎を泳がせながらかかってくる鮎を釣り上げる。「囮」に負担のかからない自由に泳ぎまわれる糸の軽さでなければならない、それでもあまり細ければ釣り上げるときに鮎の重さと流れの強さで「仕掛け」が切れてしまう。そして、もっと大事なのが釣り針、「囮」鮎と川の中の鮎が接した時にすぐにかかるほど研ぎすまされていなければ鮎は釣れない。すぐに針先の鋭さがなくなってしまうから頻繁に取り替えるか、針先をこまめに研ぐ。市販の出来合いの釣り針セットの針先ではいまひとつ鋭さに欠ける。
結局今年の鮎釣りは先日の3時間しか出来ていない。3時間でもみっちり日に焼けたし、川の流れの音を聞きながら鮎釣りに熱中するのは楽しい。何もかも忘れさせてくれる。釣果は別にして自然に溶け込めることが最高だ。それにしても去年の解禁日、鮎釣りに熱中する釣り名人達の「場所」取り、「仕掛け」、にかける情熱には感心した。きっとどんなジャンルでも同じことが言える。ビジネスの世界を考えてみても魚の居る「場所」に船を出し、いい「仕掛け」で魚を釣り上げ、いつも新しい「囮」に取り替えることに貪欲であれば必ず成功する。そんなことを考えながら今年ももう8月、去年の鮎釣りに出かけた回数には到底及びそうもない、鮎釣りシーズンもいつの間にか終わりに近づいている。出かけるなら新潟、遡上の天然鮎釣りにそのうち出かけてみようかって気にもなってくる。
(青柳 剛)
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