□ 男は黙って○○○○○○○                                                         平成19年10月5日


 どんなことでも最初に取り組みだすときにはなんとなく気恥ずかしい、ましてや他人に見られていると思うと始めるまでには勇気がいる。もう6年近くになる早朝の近隣清掃も最初のうちは、他人にどう見られているか気になってなんとなくぎこちなかった。今では何の抵抗もなく全員で短い時間であっても近隣清掃を行っている。思い切ってチャレンジしてみることが肝心、始めてみればどうってこともないし、わずかの時間でもすがすがしい気持ちを味わえることが出来る。組織の元気よさと一体感、同じベクトルに向かっていく力強さ、もう少し言えばモチベーションを高めながら組織を維持していく、難しいことを考えなくてもちょっとした仕掛けと外に向かっていく元気良さがあれば組織は間違いなく上向いた方向に向かっていく。

 ちょっとした仕掛けの一番入り口に位置するのが、「挨拶と声かけ」であると信じて疑わない。声を出すのには勇気が居るが声を出してみれば相手からの反応は間違いなく帰ってくる。外に向かって相手と戦うスポーツは、みんなしっかり声を出している。黙って戦うスポーツは限られてくる、個人で戦うスポーツが大半だ。相撲もゴルフも陸上も水泳も個人プレーだからそんなに声を出さないで済む。声を出す場面は、気合を入れて自分を鼓舞するために声を出す。組織としてのチームプレーのスポーツは、いかに声が出ているかどうかで勝敗まで決まってしまう。野球の要である捕手の声だしはチームの流れをつくるし、野手のピッチャーへの声かけひとつでピッチャーは立ち直る。声を出し合わなければ野手同士でひとつの球を追いかけていることにもなる。

 このあたりを特集記事にしているのが「日経ベンチャー」9月号、「声かけ力をアップする」という表題で記事を組んでいる。『声かけ力とは、社長が社員に声をかけることによって生まれる力のこと。その効果は、取るに足らないように思うかもしれない。しかし、実は業績を上げる方法としてにわかに注目を集めているのだ。声かけが効くのは、(一)同じ話題を共有することで、コミュニケーションが深まる、(二)褒めて元気づけることで、社員が前向きな気持ちになる、(三)何気ない会話で社員の悩みを聞く中で、信頼関係が深まる、ためだ。社長と社員の一体感が少しずつ強まっていけば、社員の定着率は上昇し、社長の思いを理解して仕事に打ち込む社員が増える。それが結果として業績アップに繋がる。まずは「元気?」「暑いね」など、短い言葉で良い。トップが社員に毎日声をかけてみよう』

 社内の仕掛けづくりが経営者の大事な仕事、そして常に新鮮な仕掛けをし続けられるかどうかにかかっている。みんなで身構えるような大げさな仕掛けはなかなか定着しないし、スタートするにもエネルギーが要る。経営者は社内で起きていることを敏感に感じ取り、対処しなければならない。そうでなければ組織はいつの間にか経営者の思いとは別のほうに流れがち、後で気づいた時には手遅れになってしまう。どんなことでも最初に取り組み出すときには気恥ずかしい。ちょっとした仕掛けと外に向かっていく元気良さ、「挨拶と声かけ」あたりから始めてみる、組織は間違いなく上向いた方向に向かっていく。「男は黙って○○○○○○○」という昔のコマーシャルのようなわけにはいかないのが会社組織である。

                                          (青柳 剛)

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