去年の3月、10年以上通っていたジムを変えた。前にも書いた「誰もいないジム」から変えたのである。変える前の2ヶ月間ジムを休んでいたら体重が徐々に増えていくのがわかる、「ジムに行かなければ」と思っていたが、どうも「誰もいないジム」の激しいフリーウエイトをやった後は必ずといっていいほど痛風の発作が起きる。コンスタントにジムに行っているときはいいが、ちょっとでも空いた後に筋トレをすると足が痛くなることを繰り返していた。重いウエイトの負荷をかければ無酸素運動になり、筋肉も断裂するわけだから乳酸もたまっていく。仕上げに長い時間をかけてストレッチと有酸素運動をすれば痛風にはなりにくいが、「誰もいないジム」にはそのスペースと有酸素運動の器械があまりない。身体が付いていかない、もう年齢には勝てない、そう思って長年通い続けた筋トレ専門の「誰もいないジム」を変えたのである。
変えたジムはどの街にもあるようなお洒落な人気ジムだ。変えてから身体の調子はいいし、痛風の発作は起きなくなった。有酸素運動のマシンはより取り見取り、ウォーカーは10台、ステッパーは3台、エアロバイクは8台・・・、と乗り換えながら有酸素運動を楽しむには十分な数がある。1時間以上の有酸素運動をしても飽きが来ない。ダイエットをするには筋トレを組み合わせなければならないが、マシンが中心の筋トレだからいまひとつ手応えがない。筋肉が熱く燃え尽きるような感じにはならない。それでも、週に幾日かしっかり汗を流すことが出来れば、痩せるとまではならなくても太ることはない、現状を維持できる。ストレッチのスペースも充分にとられているから、時間をかけて収縮した筋肉を伸ばすことが出来る。エアロビも含めれば毎日沢山の人がやってくる、「誰もいないジム」でただひたすら黙々とストイックに激しい筋トレに励んでいた去年とは大違いだ。
筋トレに励むには、身体をつくることともうひとつの意味がある。筋トレ後の爽快感がたまらなくて筋トレに励み、ストレス解消にも役立つわけだが、前向き思考になることである。これは大事なことである。少しでも現状維持から改善をしようと思って努力をし続けるからいい、いつも目標を立てる習慣が付く。そして、努力すればするだけ結果が確実に現れてくる。この効果を書いて売れている本が「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」(山本ケンイチ著幻冬舎刊)、・・・「自らの意志で、自らに辛いことを課す」、これは精神にも筋肉にも共通する、普通の成長原理なのである。黙々と孤独にマシンに向かう成功者の姿は、そのまま、彼らがビジネスのチャンスをいかにタフに乗り越えてきたかを物語っている。筋肉だけではなく、人間性そのものが「超回復」を続けているのが分かる。鍛えあげられた筋肉は、人間としての成長の軌跡だ・・・、と締めくくる文章がすべてを言い当てている。
もう少し具体的な指摘をこの本から引用すると、「トレーニングの目的を明確にする」「有効で現実的な目標を、期限と数値で設定する」「目標達成のためになすべきことを具体的な行動に落とし込む」「行動を継続するための仕組みをつくる」「実行する」と言うフローはそのままビジネスに当てはまる。成果を挙げるための方法論である。「仕事が出来る」「トレーニングがうまくいく」「さらに仕事で成果が上がる」という好循環が回りだすきっかけに筋トレの役目は大きい。そういえば、昔から「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」と言われてきたが、もう少し進めて向上を目指して身体訓練をやり続けること、そのことが「筋肉は最強のビジネススキルだ」と言われる所以である。今週末も土日が空いている、しっかり筋トレに励もうかって気分がまた湧き上がってくる。(青柳 剛)
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