□ ブロック会議のあり方を考える                                          平成22年12月15日


 会議は、回数を重ねるごとに形式化する。10月6日に関東甲信越地方ブロック会議が大手町の経団連会館で開催された。毎年10月は、関東ブロックを皮切りに全国建設業協会と国土交通省などの発注機関との意見交換会が北陸、近畿、四国、中国、東北、東海、九州、北海道と集中的に開催される期間である。昨年の会議は政権交代直後ということもあって、受発注者間の立ち位置が不明確なまま、会議そのものが生煮えのままに終わってしまった。あれから1年、政権交代を正面から受け止め、ややもすれば形式化になりがちだったブロック会議も次のステージへと向かい始めた予兆が見え出した。

 どの場面での意見交換会でもそうだが、公共投資についてのテーマは、量の問題と調達の仕組みに大まかに分けることが出来る。関東ブロック会議では、「社会資本の計画的な推進および地方経済の活性化のための公共事業費の拡大・確保」、「県内建設業者の受注機会の確保」、「建設企業の経営安定と建設従事者の生計が成り立つ設計労務単価の設定」、「低入札調査基準価格の引き上げ」、「「工事予定価格の正当性のピーアール」、「営繕工事における積算数量の取り扱い」、「予定価格の上限拘束性の撤廃」の7項目が要望事項として取り挙げられた。

 これらの7つの要望事項は、どれも業界の厳しい状況を反映したテーマだったが、その中でも神奈川建設業協会が発表した設計労務単価の内容が注目を浴びていた。設計労務単価の設定のありようは、様々な角度から議論され、常に話題に挙がってくるテーマだが、今回は主要11職種の平成10年度と平成22年度の神奈川県の単価の比較を分かりやすく表示していた。そのうえ、型枠工事業界から協会に要望書として出されてきた「この1年間の型枠工事のu単価が2000円近くにまで一気に下落している」との指摘は建設業界全体の窮状を説明するのに充分説得力があったのである。

 会議は、大きくなればなるほど形式化しやすい。ブロック会議は限られた時間の中で、関東ならば10都県、他のブロックでも複数県のテーマを広く議論することによって、毎回同じような運営方式になりやすいことは否めない。その中でも今回、神奈川県建協が浮き彫りにしたテーマの問いかけ方式は的を得ていた。受発注者間の内向きな、単なる「要望」としてのやり取りの枠組みを超えた、具体的なデータに基づいた分かりやすい「提言」であるからこそ説得力があるのであろう。政権交代以降立ち止まりそうになったブロック会議、新たなステップへと向かうためには「要望から提言へ」と踏み出すことが出来るかどうかにかかっているのである。(建設通信新聞10月28日号)

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