□ 「都市の魅力」は「言葉力」                                          平成25年5月13日


 「都市のスケール」は人口の多寡が基準、スケールが大きければ大きいほど、なるほどと思える話をする人の数も多い。地方に住んでいるとこのスケールの違いから感じとるものは大きい。当たり前のように聞き慣れている時候の挨拶から始まる挨拶でさえ、ちょっと大きな都市に行くと、これはと思えるいい挨拶をする人に出会える。加えて、企業経営者がマイクを握れば中身の濃い挨拶を聞くことが出来る。それだけ経営を通して考えている人が多いということだ。この辺が「都市のスケール」、「都市の魅力」へと結びついている。

 今年も暮れから春先まで、いくつ会合に出ただろうか、自分から話をする場面もあるが、人の話を聞く機会が圧倒的に多い。中でも多かったのが政治家の話、回数をこなして場馴れをしていることもあるだろうが、媚びる気持ちが働くからか、今一つピンとこない。本人がいるのに話す機会が全くなかった団体まであった。それにしても今年は年末の政権交代、年明けからの景気回復の動きへの期待感、どの会場でも挨拶の中に一足早い春風が吹いていた。「空気が違う、前向きになりそうだ」と、あっという間に上昇しだした株価の動きも高揚感に拍車をかけていた。

 「金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢からなるデフレ解消を目指した政策パッケージ、『アベノミクス』といっても、政府が個々の企業の経営をしてくれるわけではない。みんなで底上げなんてこともない。努力し続ける企業だけが伸びていく。どんな小さなことでも、『改善の精神』を持ち続けなければ成長はない。研修会に参加した社員、『改善の精神』が持続しているのは帰りの電車の中まで、たちまち元に戻ってしまう、変わりたくない気持ちがそうさせる。経営者が強い気持ちでひっぱり続けられなければ組織は停滞する。そのためにもドラッガーが基本!」と閉会挨拶、今年聞いた数ある挨拶の中でも抜群に良かった、会合そのものの締りも整った。

 記憶に残る話で締めくくったのは、同じテーブルの経営者。早速名刺交換をした。名刺を見れば、勢いのある企業の経営者、言葉の端端に経営をいかに真剣に考えているかが滲み出ている。経営の基本のことを話したのだろうが、ぬるい風が吹き出した時の自身への問いかけでもあったのだろう。なるほどと思える話をする人の数はこうして「都市のスケール」と比例する。新年度もあけ、これから総会シーズン、いくついい話が聞けるだろうか?「都市の魅力」は「言葉力」によって支えられている。(ぐんま経済5月号 群馬経済研究所刊)


ご意見、ご感想は ndk-24@ndk-g.co.jp まで

「森の声」 CONTENTSに戻る