私の書いた文章に対しての感想文というか、感想メールを頂戴するのも楽しい。「そんな読み取り方もあったんか」と新たな感激をするし、勉強もさせられる。先日も地元の経済研究所の雑誌に「都市の魅力は言葉力」という表題で短い文章を掲載した。都市の魅力は、「お洒落な店があったり、食べ物がおいしかったり、美術館や音楽ホール、それに街並みが綺麗だったり」と様々な角度からの尺度があるが、「中身の濃い、メッセージ性のある話をする人が多い」ということも都市の魅力に結びつく大きな要素だということを書いた。それは突き詰めれば、都市のスケールにも影響するという話に繋がっていくが、この話に対して送られてきたコメントに感心させられた。若くして霞が関官僚を退官、精力的に幅広く活躍しだした知人のメール、「田舎の3年 京の昼寝」と昔から言われている諺を引用しながら、「都市の魅力は言葉力」の文章を自分の言葉に置き換え、論点を堀り下げていた。なるほど、「田舎」ではいくら一生懸命努力しても、昼寝をしながら「京」で吸収する情報量と同じくらいにしかならないということ。情報化社会になっても、この辺はそう変わらない。
六本木ヒルズのセミナーにしばらくぶりに参加してきた。六本木ヒルズが出来上がって今年で丁度10年、開業した当時から時間を見つけては49階のアカデミーヒルズに通い続けてきた。出来たての49階の喫煙室から見下ろす都心のお洒落な夕景色、その部屋に設置してあった自販機で「おサイフ携帯」が使えることに戸惑い、トイレも大胆な「ピュアな白」を使ったデザイン、まぶしさに時代が変わりだしそうな気配を感じながら通いだした。もうあれから10年。去年はエイベック研究所の武田隆と慶応大学の夏野剛のビジネスにおける産業革命以上の第3の革命としての「ソーシャルメディア進化論」、「日本大災害の教訓」(東洋経済新報社刊)の出版を記念した竹中平蔵をコーディネーターに宮城県知事などをパネリストに迎えたシンポジウム、これは「東日本大震災」についての考え方を整理するのに役立った。「BADニュースは企業の力」と「ダントツ経営」(日本経済新聞出版社)、コマツの坂根正弘会長の話、「地方の在り方」と「地に足がついた日本発グローバル企業」の経営の一端に触れることが出来た。「売る力」と「買う力」、ネットショッピングで急成長してきたZOZOTOWNの前澤友作社長、好きな音楽CD 集めがビジネスの原点だったとは知らなかった、年収は部長の他は全社員皆同じ、組織は全くフラットだともいう。「私塾がコモディティ化しない人材をつくる」と脳科学者の茂木健一郎と経済評論家・波頭亮の対談、反復する「努力の総量」によっていい人材は作られていくということを改めて学ぶことが出来た。
今回は昨年3月初便就航した「空飛ぶ電車」、「アジアの空を、もっと近く、面白く」と題して日本初の本格的なLCC(Low Cost Carrier)、大人のピンクに彩られた航空会社Peach Aviationの井上順一社長の話だった。エアバス8機で日本の空をぶんぶん飛んでいる。聞いていると話に引き込まれる、異業種から学ぶものは多い。「コストマネジメント」と「ホスピタリティー」に裏打ちされた低価格で空を飛ぶために工夫されたイノベーション戦略、ダンピングした超格安航空券とは違う。5秒でチェックインできる改札は無人化、おばあちゃんでも自動チェックイン機を使いこなせるほど分かりやすく簡単に作ってある。雨天時には貸し出された傘を差しながら、徒歩で飛行機に乗る。きつめの座席は皮張り、その後の掃除もしやすい、国内外すべて片道4時間以内でフライト便を計画する。出発時間が来たら電車と同じ、さっさと飛び立ってしまう。搭乗者数も200万人を突破、この一年間で航空業界の話題をさらっていった。例えば大阪=福岡、長崎が3590円から、大阪=鹿児島も4290円、大阪=仙台も4390円からだという、韓国も充分日帰りが出来る価格だ。
これだけ安くなると、全日空やJALの既存の顧客をどれだけ多く獲得したかという話になるが、結果は新規潜在需要の発掘に結び付いた。競合するはずのビジネス客は1割弱、帰省、介護のために親族訪問、就職活動、単身赴任の父を訪ねるなどといった今までと全く別の顧客を獲得したという。高速バスよりリーズナブルなのもいい。航空機内の雰囲気もがらりと変わり、相乗効果で航空業界のマーケットの活性化に繋がりだしている。電車のように飛行機を利用する人が多くなったということだ。Peachの話題は、最近テレビなどのマスコミで取り上げられる機会も多くなったが、こうして社長の生の声を聞くと、受け止める情報量の多さも違ってくる。建設業界にとって、別世界のような気もするが、業務の効率化によりコストの削減、手ごろな価格の品物を提供できるかどうか、これはどの業界でも変わらない。この10年間、時代の変化に乗り遅れないようにと通い続けた六本木ヒルズのセミナー、何とか取り残されないで進んできた。「田舎の3年、京の昼寝」、「田舎」で努力しようという気持ちを持ち続けられるからこそ「京」の刺激が染み込んでくる。(文中敬称略)(群馬建設新聞5月31日)
六本木ヒルズのセミナーにしばらくぶりに参加してきた。六本木ヒルズが出来上がって今年で丁度10年、開業した当時から時間を見つけては49階のアカデミーヒルズに通い続けてきた。出来たての49階の喫煙室から見下ろす都心のお洒落な夕景色、その部屋に設置してあった自販機で「おサイフ携帯」が使えることに戸惑い、トイレも大胆な「ピュアな白」を使ったデザイン、まぶしさに時代が変わりだしそうな気配を感じながら通いだした。もうあれから10年。去年はエイベック研究所の武田隆と慶応大学の夏野剛のビジネスにおける産業革命以上の第3の革命としての「ソーシャルメディア進化論」、「日本大災害の教訓」(東洋経済新報社刊)の出版を記念した竹中平蔵をコーディネーターに宮城県知事などをパネリストに迎えたシンポジウム、これは「東日本大震災」についての考え方を整理するのに役立った。「BADニュースは企業の力」と「ダントツ経営」(日本経済新聞出版社)、コマツの坂根正弘会長の話、「地方の在り方」と「地に足がついた日本発グローバル企業」の経営の一端に触れることが出来た。「売る力」と「買う力」、ネットショッピングで急成長してきたZOZOTOWNの前澤友作社長、好きな音楽CD 集めがビジネスの原点だったとは知らなかった、年収は部長の他は全社員皆同じ、組織は全くフラットだともいう。「私塾がコモディティ化しない人材をつくる」と脳科学者の茂木健一郎と経済評論家・波頭亮の対談、反復する「努力の総量」によっていい人材は作られていくということを改めて学ぶことが出来た。
今回は昨年3月初便就航した「空飛ぶ電車」、「アジアの空を、もっと近く、面白く」と題して日本初の本格的なLCC(Low Cost Carrier)、大人のピンクに彩られた航空会社Peach Aviationの井上順一社長の話だった。エアバス8機で日本の空をぶんぶん飛んでいる。聞いていると話に引き込まれる、異業種から学ぶものは多い。「コストマネジメント」と「ホスピタリティー」に裏打ちされた低価格で空を飛ぶために工夫されたイノベーション戦略、ダンピングした超格安航空券とは違う。5秒でチェックインできる改札は無人化、おばあちゃんでも自動チェックイン機を使いこなせるほど分かりやすく簡単に作ってある。雨天時には貸し出された傘を差しながら、徒歩で飛行機に乗る。きつめの座席は皮張り、その後の掃除もしやすい、国内外すべて片道4時間以内でフライト便を計画する。出発時間が来たら電車と同じ、さっさと飛び立ってしまう。搭乗者数も200万人を突破、この一年間で航空業界の話題をさらっていった。例えば大阪=福岡、長崎が3590円から、大阪=鹿児島も4290円、大阪=仙台も4390円からだという、韓国も充分日帰りが出来る価格だ。
これだけ安くなると、全日空やJALの既存の顧客をどれだけ多く獲得したかという話になるが、結果は新規潜在需要の発掘に結び付いた。競合するはずのビジネス客は1割弱、帰省、介護のために親族訪問、就職活動、単身赴任の父を訪ねるなどといった今までと全く別の顧客を獲得したという。高速バスよりリーズナブルなのもいい。航空機内の雰囲気もがらりと変わり、相乗効果で航空業界のマーケットの活性化に繋がりだしている。電車のように飛行機を利用する人が多くなったということだ。Peachの話題は、最近テレビなどのマスコミで取り上げられる機会も多くなったが、こうして社長の生の声を聞くと、受け止める情報量の多さも違ってくる。建設業界にとって、別世界のような気もするが、業務の効率化によりコストの削減、手ごろな価格の品物を提供できるかどうか、これはどの業界でも変わらない。この10年間、時代の変化に乗り遅れないようにと通い続けた六本木ヒルズのセミナー、何とか取り残されないで進んできた。「田舎の3年、京の昼寝」、「田舎」で努力しようという気持ちを持ち続けられるからこそ「京」の刺激が染み込んでくる。(文中敬称略)(群馬建設新聞5月31日)
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