□「入ってみたい建設業」から「入ってよかった建設業」へ          平成27年7月4日


  毎年恒例のことだが、関東ブロックでは群馬県建設業協会を皮切りに総会がスタートする。今年は7月の県知事選を控え、総会前に大沢正明知事との11項目にわたる政策協定を取り交わした。去年は「ぐんまちゃん」に連れられて「ぐんケンくん」がデビューした総会だった。各県の建設業協会の会長挨拶をなぞってみれば、今年度の地方の建設業が抱えている課題が見えてくる。どの県にも共通して言えることは、昨年6月の改正品確法の運用指針が適正運用されることへの期待と人材確保育成の取り組みへ向かう姿勢を述べていた。それだけ人材確保育成が喫緊の課題ということだが、「設計労務単価の引き上げと事業量の確保」と一体になりながら、「中長期的な戦略」がようやく描けそうな時代がやってきたということだ。そんな中、気になることといえば、新潟など首都圏から遠くなるほど「事業量が減りだした」という会長の挨拶が数多く見受けられようになってきたということである。

 政策協定の取り交わしに加え、総会での取り組みをふたつ紹介する。そのうちのひとつは「今 建設業がおもしろい」のタイトルで作成したビジュアル版の事業報告集を2000部作製したということである。「総会で配られる事業報告、その場限りの資料で終わってしまう。見やすいビジュアル版ならば総会資料以外にもその後の協会の活動を知らせる広報にも使えるだろう」と思ってまとめだした。表紙のデザインも今までの建設業の冊子らしくないのがいい、手にとって読んでみたくなるようなデザイン、そう思って「ぐんケンくん」の周りに多くの人が楽しそうに集まってくるイラストを描いてもらうことにした。冊子のレイアウトを考えながら、あらためて活動を振り返ってみると様々な角度から事業活動にチャレンジしてきた。この1年間、活動にかけてきたエネルギーは格別に大きい、県単位の協会の枠を超える勢いだ。地方の建設業を取り巻く環境がそれだけ著しく変化し、表現しなければならないことが沢山あったということであろう。

 もうひとつは、毎年総会の席上で発表する行動指針のことである。行動指針は、団体としてどういった方向に向かって行動していくかという大事な道しるべといえる。業界の置かれている状況に敏感に反応し、加えて具体的な行動に結びつくメッセージ性がなければならない。ここ数年の動きをなぞることは大事なこと、特に今年はビジュアル版の事業報告集「今 建設業がおもしろい」が役に立つ。今までの行動指針を整理することから始めてみる。20年近くもの間、下がり続けた建設投資を何とか押しとどめようとした平成21年から24年度までの行動指針・「進むべき道標」、災害時に果たす役割など、地域密着型の建設業の本来の役割を前面に押し出す活動に終始した。ここまでが「第1ステージ」、次のステージが平成25年から平成26年度、ようやく下げ止まりだした事業量など業界に対する風向きが変わりだす中、「地方建設業が取り組むための3本の矢」と「4つ葉のクローバー」を掲げて行動してきた。今年は「第3ステージ」、特に「第2ステージ」を踏まえた具体的な方策、「人材確保・育成」と「生産性向上」を展開する段階といえよう。「入ってみたい建設業」から「入ってよかった建設業」へ、ここ数年の動きを整理してみれば行動指針もすんなりと決まってくる。

 県下一円約2000名が参加した第28回道路クリーン作戦も無事終了。総会が終わり、具体的な活動が動き出した。先ずは業界内にいる一人でも多くの人が改正品確法の理念を共有することが大事、受発注者双方の立場から講師を招き、タイトルも行動指針そのまま、改正品確法をテーマにした講演会を開催した。独自に訓練施設を立ち上げた板金専門工事業者と一緒になった、地域のネットワークを利用した職業訓練施設の立ち上げこそ「人材確保・育成」の具体的なモデルとなりそうだ。6月12日、ようやくそのための準備会合開催にも辿りついた。もうひとつの方策、「生産性の向上」といえば、グレス工程の見直しなどが見えてこよう。地方の建設業にとっての「中長期的な戦略」が描けるかどうか、ホップ・ステップ・ジャンプと続く今年の「第3ステージ」、「入ってみたい建設業」から「入ってよかった建設業」へと建設業で働く人たちが実感できる取り組みそのものが問われている。


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